不織布(ふしょくふ)とは
私たちの生活のあらゆる場面で活躍する「織らない布」、不織布。その基本的な特性から、なぜこれほど多様な製品を生み出せるのか、その秘密に迫ります。
不織布(ふしょくふ)は、繊維を織ったり編んだりせずに、熱や化学薬品、機械的な方法で結合させてシート状にしたものです。英語では"nonwoven fabric"と呼ばれます。一般的な布(織物)が、縦糸と横糸を規則正しく交差させて作られるのに対し、不織布は繊維がランダムに、または一定方向に並べられた状態でくっつけられています。この製造方法のおかげで、多様な機能を持つ製品を、比較的安価に大量生産できます。
どうやって作られるの?
不織布の特性は、その製造方法によって大きく変わります。代表的な3つの方法を知ることで、製品ごとの違いがより深く理解できます。下のタブをクリックして、それぞれの特徴を見てみましょう。
乾式法 (Dry-laid)
繊維を空気や機械でランダムに広げた後、熱や接着剤で固めます。身近な使い捨て製品の多くがこの方法で作られており、汎用性が高いのが特徴です。
湿式法 (Wet-laid)
繊維を水に分散させ、紙をすくようにシート状にした後、乾燥させて固めます。均一なシートが作れるため、コーヒーフィルターなど、高いろ過性が求められる製品に利用されます。
溶融紡糸法 (Meltblown/Spunbond)
プラスチック原料を熱で溶かし、ノズルから押し出して直接繊維にし、そのままシート状に形成します。マスクの中間フィルターや医療用ガウンなど、非常に目の細かいシートが作れます。
どんな製品があるの?
その多様な機能性から、不織布は私たちの生活の隅々まで浸透しています。衛生用品から産業資材まで、その幅広い活躍の舞台をご覧ください。
衛生・医療用品
- マスク
- ウェットティッシュ
- 生理用品・おむつ
- ガーゼ
家庭用品
- キッチンペーパー
- お掃除シート
- ティーバッグ
- コーヒーフィルター
衣類・寝具
- 使い捨て防護服
- カイロの袋
- 布団の中わた
農業・園芸
- 防草シート
- 霜よけシート
- 育苗ポット
産業資材
- 自動車の内装材
- 各種フィルター
- 研磨材
包装資材としての不織布
特に注目される用途の一つが「包装資材」です。その柔らかな風合いと機能性で、商品を保護し、付加価値を高めます。
包装資材の種類と特徴
平袋
シンプルで低コスト。衣類や小物の保護に。
巾着袋
高級感がありギフト用に最適。
手提げ袋
イベント配布物やショッパーに。
ロール/シート
花束や商品のラッピング・緩衝材に。
+メリット
- 高級感と柔らかさ:布のような風合いで商品を優しく保護。
- 通気性:湿気を防ぎ、革製品などの保管に最適。
- 加工性:ロゴなどの印刷が美しく仕上がる。
- 耐水性:多少の水濡れに強く、紙より安心。
-デメリット
- 耐久性:織物よりは強度が低く、繰り返し使用には不向き。
- 価格:ポリ袋や紙袋に比べると、やや高価。
- 劣化:素材によっては紫外線で劣化する場合がある。
代表的な製品例:福助工業
包装資材のリーディングカンパニーである福助工業の製品は、不織布の特性を活かした好例です。汎用性の高さと品質で業界でも広く知られています。

